2021年までSTモデルとして活躍していたモデル・俳優の大友花恋さん。読書好きの花恋さんが短編小説に挑戦したSeventeenでの連載『作・大友花恋の短編小説 ハナコイノベル。』が、撮りおろし・書きおろしを加えて一冊の本に! 【ST図書室スペシャル】と題して、STだから話せちゃう連載当時の裏話や思い出など、STモ時代のことを振り返ってもらったよ♡

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『ハナコイノベル。』大友花恋

¥1100/集英社オレンジ文庫


「ハンバーガーが食べたい!」から書き始めた作品も

――『ハナコイノベル。』発売おめでとうございます!
花恋 ありがとうございます。こうしてSeventeenでインタビューしていただけるのがすごくうれしいです! 卒業してから、STモ時代のことを話せる機会がなかなかなかったので。


――連載当時のことを教えてください。毎回どのくらい時間をかけて書いていましたか?
花恋 書くのはだいたい1時間くらいかな。「そろそろ来月のお話を書こう」と思ったら、まずはテーマを考えて、ざっくりあらすじを決めておくんです。そこから「書くぞ!」って手を動かし始めてからは1時間くらいですね。全然書けない!みたいなことはなくて、毎回楽しく書かせてもらっていました。

――テーマはどうやって考えていたんですか?
花恋 シンプルに「こういうお話が書きたいな」と考えることもありましたし、“12月だからクリスマスのお話”とか、“春だからちょっとやわらかい雰囲気にしよう”とか季節から考えることも。あとは、お話と合わせて一緒に載せる写真で「こういう写真を撮ってもらいたい」と、写真から先に考えたお話もあります。『トマトと彼女』は、その時ハンバーガーが食べたくて(笑)、食べてる写真を撮ってもらおうと思ったところからストーリーが決まりました。

――写真も毎回雰囲気が違っていてかわいいですよね♡ お気に入りは?
花恋 『七夕の星』です。撮影のときはスタジオに青い映像をたくさん映してもらって撮りました。私が手に持ってる星も撮影のときは普通の紙だったんですよ。それが誌面になったら光っていて! 感動しました。


――お話で特にお気に入りのものはどれですか?
花恋 『彼女と花と、蜘蛛』です。『ハナコイノベル。』のほかの作品に比べるとそこまで大きな事件は起きずアグレッシブな感じではないのですが、関西弁で書くことに挑戦して、今までにないことをやってみた回なんです。でも、振り返ると全部に思い出がありますね。初回の『リトープスのはなし』を書いたときは何か別のものになりたい気持ちだったんだなあとか。最終回の『自伝』を書いたときの感謝や満たされた気持ちも、読み返すと一瞬で蘇ってきますし。


――花恋さんにとってのアルバムみたいな感じなんですね。
花恋 そうですね。当時はそのとき書きたいことをただただ楽しく書いていたんですけど、今回書籍化するにあたり改めて読み返してみたら、そのときの自分が考えていたことがかなり反映されているのを発見しました。


 

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Seventeenは仕事の場であり「帰る場所」でした

ーーSTで過ごした期間は、花恋さんのなかではどんな思い出ですか?
花恋 すごく幸せな時間でしたね。Seventeenは、プロ意識を持ってお仕事をするのはどういうことかイチから教えてもらった場所でもあるんですけど、同時に「帰る場所」でもあって。いつでも「おかえり」って言ってもらえる家族みたいな空間でした。お仕事の場でもあるのに、STモやスタッフの方々とそういう関係でいられたのは、本当に幸せだったなと思います。


――STモ時代でいちばんの思い出はどんなことでしょう?
花恋 やっぱり初めてのピン表紙ですね! ひとりで表紙を飾るのはSTモにとってあこがれであり目標とするところ。以前は毎号新しいSeventeenが発売されると、次号予告で表紙も発表されていて、そのたびに「また花恋ちゃんのピン表紙じゃなかった……」って投稿してくれる読者の方がいたんです。「#大友花恋ちゃんピン表紙希望」ってハッシュタグつきで。その言葉がうれしいのと同時に、気持ちに応えられないのが申し訳なくて……。だから、初めてのピン表紙が決まったときは「ようやくみんなに見てもらえる!」って安心した気持ちが大きかったですね。

――たくさんの読者からの応援があったんですね。初めてのピン表紙の撮影はどうでしたか?
花恋 もっと緊張すると思っていたのですが、それよりも「よかった~。本当によかった!」って気持ちでいっぱいで。選んでいただいた写真も、すごく私らしい表情で、大満足! 応援してくださったみなさんと一緒にたどりついたピン表紙だと思ってます。 



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『ハナコイノベル。』から想像を広げる読書の楽しさを知って!

――『ハナコイノベル。』続編も期待しちゃいますが、今後新しい小説を書くときに、Seventeenでの経験は何かのヒントになりそうですか?
花恋 STモだったことは全部ヒントになりますね。書籍化するために、最終回の『自伝』の続編になる『続・自伝』を書きおろしたんですけど、それ以外にも4、5編新作を書いていて、どれにもSTモ時代の要素が入ってます。「こういう経験をしました」って直接的なものではないけど、見た目のこととか、同じ場所に居続けることについてとか、当時のことが何かしら文章に入ってくるんですよね。STでの経験はもはや私の性格の一部にもなっているので。


――本に掲載されなかった4、5編が気になりますね!「#ハナコイノベル続編希望」って新しいハッシュタグができちゃいそう!
花恋 わー!うれしい!(笑)。みなさんに読んでもらえる機会があったらいいなと思います。


――書く側を経験してみて、本を読むときの感覚が変わったりはしましたか?
花恋 それが意外と変わらなくて。書いているときは、読んできた文章に影響を受けていることを感じるんですけど、読むときに「こんな書き方もあるんだ!」「こういう文章、あこがれるな」と書き手目線になることはなく、純粋に作品を楽しんでいます。でも、今回『ハナコイノベル。』で書き手として取材されるのは不思議な気持ちです。「作品のことを聞かれる作家さんってこういう気持ちなんだ」と発見です......!

――読書好きの花恋さんから、ST読者に向けて「本を読むこと」の楽しさを教えてください!
花恋 私は本以外に映画もマンガもドラマも好きなんですけど、そのなかでも「読書」っていう活字の世界にこだわるのは、「文字」から人それぞれの想像ができるからなんです。例えば「あこがれの先輩」が小説の中に出てきたとして、その先輩の見た目や声は自分で想像できちゃう。そうやって自分の理想の世界を詰め込んで楽しめるのは、本だからできることだと思います。


――本を読むことに慣れていない子が読むなら、どんな作品がおすすめですか?
花恋 そこはやっぱり『ハナコイノベル。』で(笑)。ほかの小説に比べたらかなり短いですし、私の好みもあってドラマチックな内容が多いです。なので飽きずに、カジュアルに読んでもらえるんじゃないかな。『ハナコイノベル。』をきっかけに、想像を広げる楽しさを知ってもらえたらうれしいです。


――最後に、ST読者に向けてメッセージをお願いします。
花恋 きっと私がSTモだったのを知らない方もいると思うのですが、今回『ハナコイノベル。』の書籍を通じて、私にこんな時代があったことを知ってもらえるのがうれしいです。こんなふうに自由に自分を表現できる連載ができたのもSeventeenがあたたかい場所だったから。今、読者のみなさんがまわりの目を気にせずに、自分を表現できる機会ってなかなかないかもしれないけど、私にとっての『ハナコイノベル。』がそうだったように、自分が自由でいられる場所を見つけて、そこを大切にしてほしいです。きっと学校とは違う場所でも、見つかるはずなので。


 

\ カバーを外すとこんな感じ /

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大友花恋さんがSeventeen在籍時に約2年半連載していた『ハナコイノベル。』が本で読めるなんて嬉しすぎる......♡ レジェンドOGモの初短編集、みんなも絶対チェックしてね!

撮影/藤原宏(Pygmy Company) スタイリスト/ミク ヘア&メイク/北原果(KiKi inc.) 取材・文/古川はる香