ライフスタイル
2019.10.06

教えて上野先生! じぶんの好きなことしてるだけなのに⁉

女性学のレジェンド★東大名誉教授の上野千鶴子先生のところへ、私たちティーン女子の悩みを花恋が相談に行ってくれたよ! 今回は、料理や手芸が好きな女子が、友達からイヤミを言われてモヤモヤ…という悩み。

<今回のお悩み>

「私は料理や手芸が好きです。そのことで、友達から「女子力高いね!」とか「家庭的アピールしてんの?」と言われることにモヤモヤします」(中3・みのり)

鈍感力を身につければ嫌みもへっちゃら! ただし、嫌なことに慣れすぎないよう注意

(上野先生)そもそも、料理や手芸=女子力っていう公式がおかしいよね。男子だってできることなのに。(花恋)しかも、モテアピールみたいになっちゃってる。(上野先生)明らかに相手は、皮肉として言ってるってことだよね。だからこの子も、ホメ言葉として素直に受け取れない。(花恋)その裏にある感情を読んじゃう。(上野先生)内心はどうであれ、にっこり笑って「じゃあ〇〇ちゃんもやったら?」って返すのが一番だけど。(花恋)それはハードルが高いかもです(笑)。(上野先生)それは、相手に嫌われたくないからだよね? ちなみに、男子に比べて女子のほうが孤立を恐れる理由に、〝女らしさ・男らしさの社会化"を受けていることがあげられるの。簡単に言うと、「男はこうあるべき、女はこうあるべき」という規範のすり込みね。そのなかで女の子は、「人に愛されなければいけない、人と円満な関係を結ばなければいけない」という教育を、男の子よりもたくさん受けているの。知らず知らずにね。だから人間関係への関心がより強いし、悩みも多い。(花恋)なるほど。(上野先生)対して、男の子は人の感情に鈍感。悪く聞こえるけど、鈍感力って自分を守る術のひとつだから。今回の件でも使える、万能なコミュニケーションスキル。(花恋)そのとおりですね。ただたまに、鈍感力で身を守っているフリをしている自分がいて……。(上野先生)まさにそうなの。「このくらいへっちゃら!」と思うように努力を続けていると、鈍感力が必要以上に成長して、イヤなことをイヤだと思えなくなっちゃう。この〝鈍感力の副作用"がセクハラを受けたときに生じると、どんどんエスカレートして大変なことになるから。気をつけてね。

上野千鶴子さんってどんな人?

うえのちづこ●'48年7月12日生まれ、富山県出身。東京大学名誉教授であり、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)の理事長。家庭内で権力をにぎる父親の存在に疑問をいだき、社会学者の道へ。当時、日本ではまだ存在していなかった女性学、ジェンダー論の分野を開拓してきたスゴい人だよ。主な著書に『家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平』(岩波現代文庫)、『女ぎらい』(朝日文庫)、『女たちのサバイバル作戦』(文春新書)などが。

撮影/加藤ゆき モデル/大友花恋(STモデル) 構成/中西彩乃

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