東京大学入学式での祝辞がすっごい議論の的となった上野先生。実は朝日新聞のお悩み相談連載も大好評だったりするんだよ。 ST読者から集まったお悩みに回答いただきました! まずはもっとも悩んでいる友達関係について。ハッとさせられる神フレーズが続出!

お悩み◆女子はグループに属していないと、学校で居場所がない。

上野千鶴子先生のお悩み相談室友達関係編の画像_1

上野先生 私も学生時代はグループに入らなかった子なの。というか、入れてもらえなかったんだけどね(笑)。でも「変な子」って思われて、イヤだと思わなかったのよ。だって人それぞれ違って当たり前でしょう? みんなはどう? 

花恋 高校を卒業してみると、「ああ、あんな狭い世界で悩む必要なかったな」と気づけるんですけど。でも“学校”と“家族”っていうふたつの世界しかない子にとって、ひとりでいるのはしんどいように感じます。

上野先生 花恋ちゃんは高校生のときからモデルとして活動していたんだよね? ということは、「変な人」扱いをされてた? 

花恋 はい(笑)。

上野先生 それでイヤな思いをした? 

花恋 特には……。ただ私の場合は〝芸能界"っていう別の世界があったからかな、と。

上野先生 評価される場所があるっていうのは大事だよね。

萌菜 私は高2のときに、ずっと一緒にいた仲良しグループから無視されるようになって。それが原因で転校しました。休み時間に、私の悪口で盛り上がったりされて……。

上野先生 それはつらいね。

萌菜 心の中では「しょうもないな」と思っていたんですけど、結局、負けちゃって。逃げたほうが楽だな、と。

上野先生 学校を辞めてからはどう? 

萌菜 新しい学校で友達ができて、今は辞めて本当によかった!と思っています。

上野先生 ならよかった! 

音海 いじめられる人とそうでない人には、どんな差があるのでしょう? 

上野先生 つけこまれやすい、って言うのかな。いじわるをするほうは、反応がなければ張り合いがないからね。逆に反応が大きければ大きいほど、おもしろがる。

音海 なるほど。

上野先生 “蛙の面に小便”っていう言葉、知ってる? 

智美 聞いたことはあります。

上野先生 誰でも、おしっこをかけられるのはイヤだよね。でもカエルはもともとぬれてるから、かけられても知らん顔! つまり何をされても「それが何か?」ってしれっとしている態度を私は、〝蛙の面に小便パフォーマンス"って呼んでるんだけど(笑)。これをできるようになれば、いじめを回避できるはず! 

花恋 おもしろい(笑)。

上野先生 萌菜ちゃんのように「つらい、寂しい」と感じるなら、逃げるなり何なり、何らかの対処が必要。でも自分が平気なら、相手からどう思われたって、痛くもかゆくもないじゃない? 

智美 そうですね。私も友達から無視されたとき、「どうでもいいや」と思えた瞬間に気持ちが楽になりました。

上野先生 その友達を失って、今も悲しい? 

智美 まったく! 

上野先生 でしょう。友達なんていつでも捨てられるし、必要ならまたつくれるもの。いなくなっても悲しくない友達は、友達とは呼ばない!

上野千鶴子先生

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家庭内で権力をにぎる父親の存在に疑問をいだき、社会学者の道へ。当時、日本ではまだ存在していなかった女性学、ジェンダー論の分野を開拓してきたスゴい人だよ。うえのちづこ●'48年7月12日生まれ、富山県出身。東京大学名誉教授であり、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)の理事長。主な著書に『家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平』(岩波現代文庫)、『女ぎらい』(朝日文庫)、『女たちのサバイバル作戦』(文春新書)などが。
上野先生は、ほかにも将来や学校生活についてたっぷりアドバイスしてくれているよ。心に響く言葉が必ず見つかるはず。ST9月号でチェックしてみてね。
撮影/加藤ゆき モデル/大友花恋(STモデル) 構成/中西彩乃