【インタビュー】広瀬アリスさんの主演映画『沖晴くんの涙を殺して』が公開中!
穏やかな死を迎えるために故郷に戻ってきた女性・京香と、幼少期に津波で死の淵をさまよい生き残った高校生の沖晴くん。全てのネガティブな感情を失い、喜びの感情しか持たない沖晴くんは、何が起きてもつねに満面の笑顔。そんな彼をほっておけない京香は、彼を通してあらためて自分の死と向き合っていく――。
こう書くと、重そうと感じちゃうかな? でも、広瀬アリスさんのかもしだす空気感、木戸大聖さんの最強の笑顔が、ちょっと不思議な世界観を穏やかに包んでいて、優しい気持ちになれる物語だよ!
主演の広瀬アリスさんに映画のお話をうかがっていたら、Seventeenモデル時代の後悔もあふれ出した!?
“悲劇のヒロイン”にはならないでねと監督に言われていました。
――演じた“踊場京香”はどんな人ですか?
設定やあらすじでは「余命宣告を受けた女性」と書いてあるんですけど、台本を読んでいると、あまりかわいそうには思えなかったと言うのが第一印象です。もっと苦しんで泣いて、重く話が進むのかなと思ったら、予想外の展開とかがあって、京香は強い女性なんだなと感じました。ただ、そこにたどり着くまでの彼女の日々や心情は、一番最初のシーンでの京香の表情に詰まっていると思います。
演じる上で“悲劇のヒロイン”にはならないでねと監督に言われていました。何も知らずに見ると、喜びの感情しか持たない沖晴くんと死についてすごく淡々と話している京香は、すごく不思議なテンションに見えるかもしれないです。現場では、徹底的に“かわいそう”とか“悲しい顔”を排除したんですが、それはめっちゃ難しかったです(笑)。今の表情はちょっと悲観的に見えたからもう1回お願いします、と何回もテイクを重ねました。京香は余生をどう生きるかと前向きになっているんですが、さすがにそれは私には経験がないので、模索しながらの日々でした。でも変に気張らずに、深呼吸して脱力してから本番に入るようにしていました。
――そんな京香が、喜び以外の感情を失くした沖晴くんと出会った意味はどう感じましたか?
お互いが心の底で求めていた存在と、偶然に出会ってしまったと私は思っています。沖晴くんの面倒を見てあげたいし、足りない感情を救ってあげたいと思う。でも、実は京香こそが沖晴くんに救われてた部分がたくさんあるように思います。お互いに死を淡々と吐露し合える関係だからこそ、京香は前向きになれるんだと思いました。
――木戸大聖さんとはどんなお話をしていたんですか?
木戸さんはとても明るくていいコ!(笑)。すごく暑い中での撮影だったんですが、木戸さんの明るさや真っ直ぐさにすごく助けられました。もっと芝居とかを語る役者さんなのかなと思っていたんですが、現場ではお芝居とは全然関係ない話でケタケタ笑い合ってました。学校のシーンでは地元の生徒さんたちがエキストラとして参加してくれたんですが、みなさんめちゃめちゃアドリブが上手で二人でびっくりしたり、木戸さんはまだ制服いけるけど、さすがに現役と並んじゃうとなぁ~とか笑って話してたりしてました(笑)。
私? もう制服で膝は出せません(笑)。
――今回は先生役ですね。
昨年あたりから学校の先生の役が急に増えまして! 学生役が長かったので、自分に生徒がいる感覚が不思議でしょうがないです。みんな可愛いですね、一生懸命で。それを見ていたら、自分が学生役だった頃の気持ちを思い出しました。
落ち込んだりネガティブな感情になることは全然悪いことじゃない。
――沖晴くんのようにもし感情が1つだけになるとしたら、どんな感情がいいですか?
「喜び」はもちろん残したいんですけど、ネガティブな感情もめちゃくちゃ大事だと思います。過去の辛い経験を話すためにネガティブな感情はある、と映画の中でも言っています。私も高校時代にはネガティブな感情を抱いたこともあるけれど、そんな経験をしておいてよかったと思っています。落ち込んだりネガティブな感情になることは全然悪いことじゃないです。そこで無理に明るく振る舞うと、ガマンすることを覚えてしまって、かえって生きづらくなる。どん底まで落ち込んだら、あとは上がるだけ! いっぱい泣いて、いっぱい食べたら、いやでも明日は来ます!
――では、ST読者に映画のおすすめメッセージをお願いします。
京香が悔いのない人生を生きたいという姿に、友達との他愛もない会話や喜びを感じる一つひとつの瞬間が一番大事なんだなと感じさせてくれる物語です。ST読者のみなさんも十代の今のうちにたくさん失敗してほしいし、いっぱい経験をしてほしいと思います。今の学生生活を本気で楽しんでほしいです。
私は学生時代に後悔がいっぱいあるんです。英語はもっとしっかりやっておけばよかったとか、制服でテーマパークに行っておけばよかったとか。制服でテーマパーク、Seventeenモデルのみんなと行っておけばよかったなぁ!(笑)。そういう後悔って、大人になると絶対出てくるので、みなさんには今できることをやってほしいです。
この作品を観るとそういうのが伝わってくると思います。日々を全力で楽しく過ごそうって、考える機会になると思います。
みなさん、自分のしたいファッションをして、行きたいところに行って、制服も着倒してくださいね! 私ももっと制服着たかったし、青春したかったもん!(笑)
STORY
余命1年を宣告されるも治療しない選択をし、故郷の瀬戸内海の島に戻ってきた音楽教師の踊場京香(広瀬アリス)。
祖母の営むカフェを手伝いながら、母校の合唱部の指導をすることになった。
そこで出会ったのは、いつも笑顔を絶やさない不思議な高校生・志津川沖晴(木戸大聖)。
津波で家族を亡くした、と笑いながら話す沖晴。
彼は津波に流されたときに喜び以外の感情「嫌悪・怒り・哀しみ・恐れ」を失ったのだと言う。
余命わずかな京香と感情を失った沖晴。
その出会いによって、感情を取り戻す不思議な日常が始まった。
『沖晴くんの涙を殺して』
2026年10月2日(金)より全国公開中
出演:
広瀬アリス
木戸大聖/満島真之介/北乃きい 戸田菜穂 根岸季衣
監督:矢崎仁司
原作:額賀澪『沖晴くんの涙を殺して』(双葉文庫)
製作:「沖晴くんの涙を殺して」製作委員会
©2026 額賀澪/双葉社「沖晴くんの涙を殺して」製作委員会
撮影/髙橋明宏 構成/鹿住恭子