夏休みもあとちょっと! でも暑いのはまだ続きそう……。こうなったら本を読んで涼しくなるしかない!! 『ST図書室』がいろんな方向からヒヤヒヤ、ゾクゾクする本をセレクトしてみました。恐怖やドキドキに負けずに全部読めるかな? 図書委員ST㋲の中島瑠菜も、実写映画が超話題のあの作家さんのゾクゾクする怖い本を紹介するよ。

書かれているのは真実? 作り話? 書店にまつわるコワい話

『書店怪談』岡崎隼人/講談社

新作が書けなくて焦っていた小説家・岡崎隼人は、書店にまつわる怪談を集めて、モキュメンタリー(創作した内容を事実っぽく表現する方法)調に書き直したホラー小説にすることを思いつく。書店にまつわる怪談を集めていくと、寄せられた怪談にはある共通点が……? その共通点を探るために、さらに情報を集めてみると、だんだん恐ろしい真実に近づくことに! 
主人公の「岡崎隼人」はどうやらこの本を書いてる小説家・岡崎隼人さん本人ぽくて。ってことは、出てくる書店にまつわる怪談もホンモノ!? うちの近所の書店も……と、怖いけど確かめに行きたくなりそう。

『書店怪談』岡崎隼人
¥1925/講談社

ドラマも期待♡ みんなが知ってる『怪談』を現代語で読もう!

『小泉八雲の怪談』理論社

漁師の男が吹雪の夜に目撃した美しい女の話『雪女』や、体じゅうにお経を書いて亡霊たちの前で演奏する琵琶法師の物語『耳なし芳一』は、みんなも子どものころに読んだことがあるかも。この、昔から日本で知られている怪談は、明治時代の作家・小泉八雲が書いたもの。実は、八雲はアイルランド出身で本名はラフカディオ・ハーン。妻のセツさんから聞かせてもらった民話や怪談をもとにして書いたんだって。
そんな小泉セツさんがモデルになってる朝の連続テレビ小説『ばけばけ』が9月からスタート。このタイミングに八雲の怪談を読んでみよう! 読みやすい新訳なので、読書初心者にもおすすめ。

『小泉八雲の怪談』小泉八雲 (作)、松尾清貴(訳)
¥1650/理論社

たった54字なのに、いろんなゾクゾクが味わえる!

『54字の物語13』氏田雄介/ 武田侑大

たった54文字で完結する物語だけど、意味がわかるとゾクゾクする面白さがある人気シリーズ。第13巻はみんなにとって身近な「学校生活」がテーマの90話を収録。意味がわからなくて「どういうこと?」ってなっても大丈夫♪ ページをめくると詳しい解説が書かれてるよ。小説読むのが苦手なコも、これならゾクッとする楽しさが味わえる!

『54字の物語13』氏田雄介(編著)/ 武田侑大(絵)
¥1320/PHP研究所

怖いだけじゃない! 愛おしさも感じる怪談文芸シリーズ

『営繕かるかや怪異譚 その参』小野不由美

『十二国記』『ゴーストハント』の小野不由美さんが書く怪談文芸のシリーズ第3弾。建築物を新築・増築したり、改築・修繕したりする「営繕屋」を仕事にしている尾端のところには、思いもよらないような依頼が。霊感が強いわけではないけど、亡くなった人に想いを巡らせて建物にまつわる怪現象を解決していきます。姑の死後も幻聴に悩まされる順子、幸せな家庭にあこがれてドールハウスを作り込む弥生など、6人のストーリーを収録。ただ怖いだけじゃなく、悲しさや愛おしさも感じられるよ。

『営繕かるかや怪異譚 その参』小野不由美
¥902/KADOKAWA

推理するのは自分自身! ページをめくる手が止まらないナゾトキ本

『ミステリー・パズル MURDLE(マードル)』G・T・カーバー(著)/千葉敏生(訳)

次々に起こる殺人事件を探偵・ロジコが解決していくストーリー仕立ての推理パズル本。「容疑者」「現場」「凶器」についての情報、そして明らかになっている「手がかりと証拠」をもとにして、「誰が」「何を使って」「どこで」被害者を殺したかを解いていくよ。ゲームっていえば画面を眺めるものだと思っちゃうけど、マス目になってる紙の「推理グリッド」に○×を書いて埋めていくのがシンプルに楽しい! 
世界中がどハマリして今年7月には第2弾も発売されたほど。自分で推理するワクワク、謎が解けていくゾクゾクが同時に味わえるゼイタクな一冊。

『ミステリー・パズル MURDLE(マードル)』G・T・カーバー(著)/千葉敏生(訳)
¥1870/実務教育出版

【今回の図書委員:中島瑠菜】胸の奥からじわじわ来る独特な怖さを味わって

『穢れた聖地巡礼について』背筋

『穢れた聖地巡礼について』背筋を手に持っている中島瑠菜

瑠菜: YouTuberと編集者、そして霊の見えるライターの3人が、ネットで噂になっている心霊スポットを巡ることから始まるホラー小説『穢れた聖地巡礼について』。最初は動画のようなテンポで進み、それほど怖さは感じなかったのですが、物語が進むにつれて登場人物それぞれの過去や想いがみえたとき、ゾッと怖さを感じました。また、呪いがただの怪異ではなく、人の感情や罪と深く結びついていて、胸の奥からじわじわと怖さが広がっていきました。ラストのある言葉は強烈な余韻が残って、その言葉の意味をどう捉えるか誰かと語り合いたくなる作品です。ぜひ手に取って、この独特な怖さを味わってみてください!

【あらすじ】
フリー編集者の小林は、心霊スポット突撃系YouTuberチャンイケこと池田のファンブックを出版するため、過去に動画で取り上げた心霊スポットの追加取材をすることに。池田と小林は、ネットで集めた情報をもとにして、読者が喜びそうな考察をでっちあげていくけど……。
『近畿地方のある場所について』が話題になり、実写映画にもなった背筋さんの作品。

『穢れた聖地巡礼について』背筋
¥1430/KADOKAWA

構成・文/古川はる香