ゴールデンウイークが終わって学校がスタート……。プチ病みモードな人もいるかな。そんなときは『ST図書室』にいらっしゃい♪ STセレクトの「非日常を味わえる本」を読んで、現実逃避してみてもいいんじゃない? 図書委員ST㋲の森﨑美月も非日常を体験できる本を紹介するよ。みんなの毎日がちょっぴり楽しくなる本が見つかるといいな♡

クラスメイトが教室のスピーカーに!? ありえない設定にハマる!

【ST図書室】<第3回>非日常を味わいたの画像_1




夏休みが終わる直前に、飲酒運転の車にひかれて2年E組の山田が死んでしまった。盛り上げ上手で、勉強ができて、みんなの人気者だった山田がいなくなったのが信じられなくて、クラス全員が落ち込んでたところ、教室のスピーカーから山田の声が! スピーカーに魂が乗り移った山田と2年E組メンバーとの日々から、山田の知られていなかった一面が明らかに。ありえない設定のおもしろストーリーかと思ったら、ぐっとくる青春展開や謎解き要素もあったりして、ぐいぐい引き込まれる!


『死んだ山田と教室』金子玲介
¥1980/講談社

世の中を変えるための「誘拐」は成功する!? 一気読みしちゃうエンタメミステリ

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32歳で無職、人に言えない過去を持ってる美晴は、SNSで紹介された高額バイトをすることに。チームを組んだ2人とたどりついたお屋敷で出会ったのは大物政治家。その政治家から頼まれて「この国の未来のために」総理の孫の誘拐に協力することに! 計画は成功する? そもそも何のために誘拐!? そして美晴の過去の秘密って? ドラマ化された『ルパンの娘』や『忍者に結婚は難しい』の作家さんが書く小説なので、ワクワクしながら最後まで一気に読めちゃう。


『誘拐ジャパン』横関大
¥1980/小学館

自分じゃない日常を体験。クスっと笑えるゆるゆるエッセイ

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18歳で地元を出て東京23区に住むようになった小原さんが日常を書いたエッセイ。又吉直樹さんやダウ90000の蓮見さんからも推薦されてるよ。東京のめっちゃオシャレな街で働き始めた小原さんは、仕事をサボってビルとビルのすき間で唐揚げ弁当を食べるのが日課に。ある日いつもの場所に行ってみると貼り紙が! 貼り紙に書かれたのは、本のタイトルにもなってる「ここで唐揚げ弁当を食べないでください」。オシャレエリアとビルのすき間の貼り紙とのギャップがウケる! ありそうだけどない、クスっと笑える日常を本の中で体験してみて。


『ここで唐揚げ弁当を食べないでください』小原晩 
¥1760/実業之日本社

日常の謎がわかると、いつもの街が違って見える⁉

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もし宇宙人が日本のフツウの街にやってきたら……「空に魚の骨が浮いてる!(→屋根についてるアンテナのこと)」「緑の怪物が現れた!」(→建物に絡まってる植物のツタ)」「鳥型ロボットに監視されている……(→電線に止まってる鳥たち)」みたいに、あたりまえすぎて見逃してるものが、ぜんぶ不思議に見えるのかも。そんな身のまわりの謎を宇宙人にもわかるように解説してくれるのがこの本。「そうなんだ~!」って発見もいっぱいあるし、宇宙人目線で街を見るようになると、街や日常がおもしろく見えるようになりそう。


『大人も知らない みのまわりの謎大全』ネルノダイスキ
¥1650/ダイヤモンド社

【今回の図書委員:森﨑美月】非日常=特別な体験だけじゃない!「心で感じる非日常」をどうぞ

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この本は「大切な人から届いた10年前の手紙」が織りなす短編集になっています。いぬじゅんさんの作品といえば、ピュアな人間心理と日常の情景を視覚だけでなく音や匂いを感じられるように描写されているのが好きでよく読みます。そんな「いぬじゅん流表現」に出会うと、何気ない日常の生活でも自分の感じ方が変わって、彩りのよいクスッと笑えるような空間に見えてくるかもしれません。今回のテーマにある「非日常を味わう」とは旅行をするなど特別大きな体験のことだと思いがちですが、「いぬじゅん流」が広げてくれる「心で感じる非日常」はいかがですか?


【あらすじ】
10年前に「幸せを運ぶ黄色いポスト」に投函した手紙にまつわる5つのストーリー。高2の優衣のもとに届いたのは「すきです」と書かれたラブレター!?  明日香のもとには亡くなったおばあちゃんからある宿題が書かれた手紙が。「十年前から届いた手紙」という非日常なアイテムが5人に運んでくる変化とは? 静岡に実在した「幸せを運ぶ黄色いポスト」がモチーフになってるんだって!


『幸せの黄色いポスト それは、十年前から届いた手紙でした』いぬじゅん
¥715/集英社オレンジ文庫

構成・文/古川はる香

Seventeen編集部