【中高生の声をレポ】女性活躍・ダイバーシティ社会実現のために。今、みんなができることって?
「社会人になったら、自分のやりたいことを仕事にして自分らしく働きたいな」と思っているコ、たくさんいるよね? 人生のなかでも多くの時間をかけて取り組む仕事だからこそ、その内容ややりがい、お給料はもちろん、女性にとって働きやすい環境を整えたり、いろいろな生活・家庭のスタイルで働く女性を応援してくれる社会のポジティブなムードづくりがとっても大切!
みんなの将来の参考にしてほしくて、今回は東京都主催のシンポジウム『東京女性未来フォーラム2026』のレポートをお届け。東京都の4つの中学・高校に通うコたち総勢12人が、「今の日本が抱える問題は何か?」「どうしたらみんなが将来もっと自分らしく働いて、楽しく明るく暮らせる社会になれるか?」……という少し難しい問題について考え、調べた結果を発表したよ!
『東京女性未来フォーラム2026』に登壇した東京都立中学・高校の学生たち
『東京女性未来フォーラム』ってなあに?
『東京女性未来フォーラム』は、女性活躍とダイバーシティ(性別・年齢・国籍・宗教・障害の有無・性的指向・価値観など、異なる属性やバックグラウンドを持つ人々が、組織や社会においてお互いに認め合い、共存している状態)経営の推進に向けた意識改革を促す、東京都主催のイベント。2024年にスタートし、今年で3回目の開催。企業の経営者・人事担当者・女性経営者・起業家など、社会で活躍するたくさんの先輩たちが参加して、自分の会社や団体内での取り組みを発表しあったり、話し合ったり、交流したりするとっても貴重な機会になっているよ!
『東京女性未来フォーラム2026』で、小池百合子都知事(中央)を囲んで記念撮影に応じる企業の社長や登壇した中高生たち
実は私たちが住んでいる日本では、女性活躍・ダイバーシティ推進の取り組みが、ほかの先進国(たとえばアメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダなど)と比べてもかなり遅れているといわれているよ。たとえば、初の女性首相(高市早苗総理大臣)が誕生するまで戦後80年もかかったこと。さらに、2025年6月に世界経済フォーラム(WEF)が発表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2025」では、日本の総合順位は148カ国中118位という厳しい結果だったよ。
日本社会に根強く残る男女格差をなくそうと、たくさんの先輩たちが長年頑張ってきたけれど、さまざまな要因が重なって、女性たちの努力だけでは変えられない部分もあるのが現実。だからこそ、もっともっと社会の理解を深め、みんなで協力していくことが大切。
多様なバックグラウンドを持つ都民のため、特に子育て・教育・女性活躍施策に取り組んできた小池百合子・東京都知事
小池百合子都知事が首長を務める東京都は、子育て・教育・女性活躍といったジェンダー関連施策に特に熱心な自治体。このシンポジウムには、現役世代として働く女性たちはもちろん、「先輩たちのあとを次いで社会で活躍してくれるユース世代の意見を聞く機会も設けたい!」という理由で、学生たちがプレゼンテーションを行うセッション「中高生によるMy Voice〜自分たちが変えよう・動かそう〜」が実現したんだって!
中高生が考える日本の課題って? 今、自分たちにできることは?
「中高生によるMy Voice「自分たちが変えよう・動かそう」では、ふだんから社会問題や女性活躍課題に興味・関心を持っている都立中学・高校の生徒たちが、「誰もが望む生き方や働き方を選択し、自分らしく活躍できる社会にしていくために、今、自分たちができることは何か」を考え、発表したよ。登壇した4校のプレゼンテーション内容をダイジェストでお届けしていくね!
男女が協力しあえる社会へ(東京都立富士高等学校附属中学校)
トップバッターで発表したのは中学生! 結婚して子どもがいる家庭に着目し、女性にばかり偏りがちな家事育児の負担を軽くして、男性も子どもも家族みんなが健康的なライフスタイルを楽しむためには、社会や企業による子育てへの参画が欠かせないと主張したよ。
3人はまず、内閣府 男女共同参画局が公表している基本データを引用しながら、
⚫︎男女間の賃金格差
⚫︎女性にばかり偏りがちな家事育児負担
⚫︎長時間労働を強いられることよる男性の育児参加の難しさ
……といった3つの社会課題に注目。慢性的な人手不足や、物価がどんどん上がっているのに賃金はなかなか上がらないこと、核家族化といったさまざまな原因により「現代社会では、両親だけで子育てを担うのには限界があるのでは?」と気づき、悪循環から抜け出すために、地域と企業も加わって、子どもを見守り育てる社会に変えていく必要性を強調。こうしたプロジェクトを実践している例として、福島県南相馬市小高区子どもの遊び場「NIKOパーク」・中野区内の子ども食堂・練馬まつり/光が丘地区祭の3つを挙げ、子どもたちが安心して遊んだり学んだりできる居場所や交流環境の整備の大切さを訴えたよ。
ジェンダーギャップ解消へ。女性の力こそ日本経済を成長させる(東京都立調布北高等学校)
男子生徒も発表に加わった調布北校チームは、「女性は・男性はこうあるべき!」というステレオタイプな固定概念をなくせば、日本経済はもっと成長できるのではないか? ……という可能性について提案したよ。
具体的な例として、
⚫︎医療現場で女性医師が働きづらいという現状(緊急性が高く、家庭と仕事の両立の難しさに悩む人が多い)
⚫︎「TPOに応じてメイクするのが社会人女性のマナー」という謎のプレッシャー
の2点を挙げながら、「女性たちが日頃から感じている“働きにくさ”や“ルッキズム(≒女性はいつも美しくあるべき)思想”、性別役割分担意識が、結果として経済成長をセーブしてしまっているのではないか」と指摘。また、G7各国のジェンダーギャップ指数の低さも示し、「女性が活躍できる社会を作れば、1人あたりのGDP(国内総生産/一定期間内に国内で新しく生み出されたモノやサービスの“付加価値”の合計額、つまり生産性)がアップし、日本経済はもっと成長するのではないか?」とまとめたよ!
みんなが自分らしさを発揮して、楽しく働き、活躍できる社会に(東京都立六本木高等学校)
生徒の自主性を尊重する自由な校風の六本木高。校則がなく、ヘア、メイク、ネイル、さらに制服の着こなしも自分の好きなスタイルを楽しみながら自己実現ができているというリアルな学校生活を紹介しながら、「ダイバーシティ・インクルージョン(みんながそれぞれ持つ個性や才能を“多様性”としてとらえ、お互いを受け入れながらその強みを生かしあう考え方)の実現を目指したい!」と宣言したよ。
3人は、ふだんの学校生活のなかで、
⚫︎無駄に厳しく、押しつけられる校則
⚫︎ルックスや考え方の違いを受け入れようとしないアンコンシャスバイアス(≒無意識の思い込みや決めつけ)
⚫︎多様性への理解度の低さ
……などにモヤモヤしているそう。こども家庭庁が令和5年度に発表した「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査」を引用して「日本の子どもは、諸外国の子どもと比べても相対的に自己肯定感が低いのがデータでわかる」と分析。「教育現場では、子どもたちに対する押しつけ的な制限をゆるめ、より自由な環境で個性を育むようにすれば、他者への理解がより深まり、自己成長も望めるのではないか」と考えたのだそう。また、六本木高で採用されているチャレンジスクール制度(昼夜間3部制・定時制・総合学科・単位制)についても紹介し、「多様な個性を持つ仲間とともに、お互いを尊重しながら成長できる環境こそ、子どもが自分自身で考え、行動する力を育むことができる」と提案したよ!
子どもと大人がもっとつながれる社会へ(東京都立小金井北高等学校)
「総合的な探究の時間」という発表形式のユニークな教科をカリキュラムに持つ小金井北高からは、ゼミ活動に取り組む3人が登壇。1日に約20人が利用する地元の子ども食堂でのボランティア経験を通じて、子どもと大人がもっと交流する場と時間を増やすことの大切さを痛感したんだって!
「子ども食堂がもっとたくさんあればいいのに」という彼らの意見に接し、自分の居場所や人と関わる時間を強く望む子どもたちがとても多いこと、さらに大人にとっても、地域社会や家庭で過ごせる時間が少ないのではないか、という課題に気づいたそう。また、OECD(経済協力開発機構)加盟38か国の時間あたり労働生産性を示したデータ(2023年)を取り上げ、日本が最下位クラス(29位・56.8%)で、長時間労働・低生産性を余儀なくされている日本企業の構造的問題をクローズアップ。会場で発表を聞いている企業関係者へ向けて「AIの活用などで長時間労働をなくし生産性を向上させたり、子ども食堂運営サポートや社食招待をしたりするなど、子どもと大人が交流できる場や時間を創造する施策にもっと積極的に取り組んでほしい」と提案したよ!
発表を聞いた、小池都知事や企業の方の反応は?
コメントを聞く東京都立中高生ら
それぞれの視点からそれぞれの研究を発表してくださって、とても特色がある“My Voice”を聞かせてくれましたね。富士高附属中のみなさんが参加してくださったおかげで、中学生の声も初めて聞くことができました。都では家族みんながチームとして活動できるよう情報発信を行っていますが、地域や企業が支える子育て施策についても考える必要がありますね。子育て中のママやパパが家庭と仕事を両立できる時間の確保を推進するという小金井北高の提案もとても大事です。ジェンダーの役割を決めつけない柔軟な考え方の大切さを教えてくれた調布北高、自分らしく個性を伸ばしながら能力を発揮できる環境整備を提案してくれた六本木高、みんなすでにもう、社会づくりに参加してもらっているのね! とてもうれしいです。
プレゼンを聞いた企業の人たちも、中高生たちが社会に出るころに働き先として選んでもらえる会社になろうと、強く心を動かされた様子だったよ!
みんなでつくる、これからの社会
「東京女性未来フォーラム2026」会場に掲げられた共同宣言パネル
フォーラム会場には「女性活躍の輪を拡げる共同宣言」としてメッセージパネルが掲げられ、発表してくれた中高生たちも各々の思いを寄せあっていたよ。
いろいろ問題が山積みな社会だけれど、性別も年齢も関係なく、誰もがそれぞれの個性や才能をのびのびと発揮しながら明るく楽しく暮らせる社会になるよう、1人ひとりが努力を続けていくことが大切なのかもしれないね。みんなもぜひ、登場した中高生たちの意見を参考にしてみてね!
取材・文/沖島麻美