
上野千鶴子先生のお悩み相談室 家族編
お悩み◆家族はヤセているのに、私だけちょっとふっくら。「デブデブ」言われまくるのがダメージ大です

読者からの相談に上野先生がお答え!「ガツンと嫌味を返す、勇気を!」
上野先生 子どもの自尊心を一番ダメにするのは、じつは家族なんだよね。とくに親! この子はどうすればいいんだろうね。「そういうことを言われるとイヤな気持ちになる」って、きちんと伝えられたらいいんだけど。
花恋 笑って我慢してたら、ずっと続いちゃいますよね。
上野先生 そうなの。しれっと「お母さんが産んだんでしょ」とか、「ふたりのDNAだよ?」って、嫌みで返してみてはどうかな。
智美 友達同士では、こんなこと絶対に言わないですよね。でも家族なら何を言ってもいい、みたいな感覚があると思うんですけど。どうしてですか?
上野先生 家族=所有物だと思ってるから。とくに親が、子どもに対して。あのね、妻にDVをする夫になぐる理由を聞くと、「妻なのに」じゃなくて、「妻だから」って言う。自分の一部だと思ってるから。日本は海外と比べてもとくに、こういう夫婦が多そうね。みんなの家族はどう?
花恋 うちは、みんな仲良しです。
音海 うちもです。両親ともに、子どもの意見をすごく尊重してくれます。
上野先生 それはすばらしいね。すてきな家庭に生まれたことを、誇りに思ってね!
お悩み◆お父さんの機嫌によって家の雰囲気が変わるのがイヤだ。娘として私はどうしたらいいですか?

読者からの相談に上野先生がお答え!「一刻も早く家から出て!」
上野先生 これぞ、日本の家父長制の典型。父親が家にいるとみんな緊張して、いないとくつろぐ。みんなの家はそうじゃないの?
花恋 うちは、お母さんのほうが強いです(笑)。
上野先生 あははは。いいね! 私の家庭がまさにこういう感じで、父親が絶対的な権力者。おまけにかんしゃく持ちですぐキレる。この子と同じで、私もお母さんがかわいそうで。なぜ主婦はこんな思いをしなきゃいけないんだろう?って思って、研究を始めたの。
萌菜 なるほど……!
上野先生 こういう家庭の子どもはみんな、「どうするべき?」って聞くんだけど。「一刻も早く逃げ出しなさい」って答えるの。
花恋 えっ。
上野先生 なぜならね、家庭がそうなってしまった原因は夫婦関係にある。そして夫婦の問題は当人同士でしか解決できないから。子どもが背負って生きたり、責任を感じる必要はまったくないの。子どもは親の幸福に責任がないから、イヤなところからは逃げ出したらいい。早く大人になりたいね。