2019年本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさん。大賞受賞作の『そして、バトンは渡された』をはじめ「家族」が題材の小説も多く書いてる瀬尾さん。そこに出てくる家族は多くの人が思う「家族」とはちょっと違うところがポイント。「うちの家族ってヘンでヤダな」って悩んでるコに読んでもらいたい!

2019年本屋大賞受賞作品!父が5人いるJKの物語

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今年の本屋大賞に選ばれた作品の主人公は高校2年生の森宮優子。優子には5人の父がいる。そして名字は今までに3回変わった。これだけ聞くと「え?親がどんどん変わるってかわいそう」って思っちゃうかもしれないけど、むしろ優子は愛してくれる父母がたくさんいて幸せ。そこに「愛」があれば血がつながってるとかつながってないは関係なく「家族」になれるってこと。「家族」のあり方を考えるきっかけに。
『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ ¥1600/文藝春秋

金髪DK、いきなり子育てはじめます!

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高校もまともに行ってない金髪&ピアスの大田くんが、いきなり先輩の娘で1歳の鈴香を預かることに。泣かれるし、ご飯は食べてくれないし、振り回されっぱなしの大田くんだけど、だんだん考えをめぐらせて、壁を乗り越えていくように。いつの間にか、2人の間には絆ができて、大田くんの心にも今まで感じたことのない気持ちが……。最後にはじーんときて泣いちゃう!!
『君が夏を走らせる』瀬尾まいこ ¥1500/新潮社

家族を守るため、DCはひとりで戦う!

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シングルマザーだった母親が町で人気のある歯医者と再婚することになって、中2の隼太も大喜び。夜、母親が仕事から帰るまでひとりで過ごしていたさみしい夜も終わり。でも、新しい父親・優ちゃんはキレるたびに隼太を殴るように。誰にも知られないように続く隼太の孤独な戦いの結末は……? とても苦しいテーマだけど、優ちゃんを大切に思う隼太の気持ちがやさしくてあたたかい気持ちに。
『僕の明日を照らして』瀬尾まいこ ¥580/筑摩書房

元中学教師だから描ける!?荒れた中学の世界

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中3のみちると優子が通う中学は、窓ガラスはだいたい割れてるし、不良たちが先生に暴力ふるうのも当たり前っていうヤバい荒れっぷり。あと半年で卒業ってところで、優子が女子たちからいじめられるように。それをかばったら今度はターゲットがみちるに……。2人はそれぞれのやり方で学校を元に戻そうと行動を始めます。瀬尾まいこさんは中学校の先生という経歴の持ち主。リアルな中学を知ってる人だから描けるストーリーに心が揺さぶられる!
『温室デイズ』瀬尾まいこ ¥480/KADOKAWA

ヘンな人たちばかりでも、家族には変わりない

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父を辞めると宣言した父親。家出してるのに料理だけは届けにくる母親。天才と呼ばれてたのに大学に進学しなかった兄。ちょっとヘンな家族に囲まれてる中学生の佐和子。そんな佐和子の心の支えになってるのは、同じ塾の大浦くん。それぞれに切ない思いを抱えながら、つながりあっていく佐和子の家族。簡単には受け入れられない悲しさ、切なさを心に秘めているコが、少しでも心を軽くできますように。
『幸福な食卓』瀬尾まいこ ¥530/講談社
構成/古川はる香