本のおもしろいところは、自分とは全く違う人の目から世の中を見られること。その結果、新しいものの考え方や見方を知って、自分の世界がぐーんと広がっていくことに。ニューワールドの入り口になりそうな新刊文庫をピックアップ!

乙女系美術男子、パリで運命の出会い!?

未体験ワールドへの入り口が!【新刊文庫cの画像_1
父親は有名政治家。子どもの頃から絵を描くのが好きな美智之輔は恋愛対象が男性っていう乙女心を持つ男子。美大を卒業してパリに留学した美智之輔は、バイト先のカフェでぼさぼさ頭の日本人女性・光晴と遭遇。すごい勢いでキーボードを打つ光晴は、美智之輔が愛読してる小説の作者だった。光晴との出会いをきっかけに、美智之輔に転機が! 美術の世界ものぞきながら、乙女&美術系男子・美智之輔の気持ちにも時には共感したり発見したり。
『ロマンシエ』原田マハ ¥730/小学館

宇宙人の「愛」と「科学」による謎解きミステリー

未体験ワールドへの入り口が!【新刊文庫cの画像_2
オーロラの見える町、北海道陸別町で事情を抱えた子どもたちの親代わりをしているアウロラ。その正体は、なんとモーンガータ星からやってきた宇宙人! 自分に向けられる愛情で生きることができるモーンガータ星人は地球人にも愛情深いんだって。身近に起きる謎を子どもたちが愛と科学の力で問いていく天体系日常ミステリー。「科学」って聞くだけで拒否感出ちゃう文系女子にも理系の楽しさがわかるかも。
『銀河の森、オーロラの合唱』太田紫織 ¥690/文藝春秋

あなたの「記憶」、本当にウソはないですか?

未体験ワールドへの入り口が!【新刊文庫cの画像_3
この短編集で共通して描かれているのは「記憶」や「ウソ」。「よく似た姉妹が話す家庭の事情はすべてウソ。しかも姉妹じゃなくて姉と弟だった!」、「一枚のはがきからよみがえる弟との30年前の記憶。でもその記憶の正体は……」、「記憶を失った青年と彼と関わる複数の老婦人たちのかかわりとは?」など、「えっ? そうなの!?」ってなるような「記憶」や「ウソ」にまつわる驚きが詰まってます。自分の記憶にも、どこかにウソが混じってるかも……って気持ちに。
『フランダースの帽子』長野まゆみ ¥650/文藝春秋

料理ベタ&味オンチな人が書く「食エッセイ」

未体験ワールドへの入り口が!【新刊文庫cの画像_4
短歌を読む歌人である穂村弘さんのエッセイ。テーマは「食べもの」。味オンチで料理ができなくて、ひとりで飲食店にも入れないなど「食」に関していろいろ困難がありそうな穂村さん。「グルメ」な人とは違う穂村さんならではの感性で見る「食」の世界に衝撃を受けたり、笑っちゃったり。日常を変える「物の見方」が学べそう。
『君がいない夜のごはん』穂村弘 ¥740/文藝春秋
構成/古川はる香