
青春ってやつを小説で味わってみる【おすすめ新刊文庫】
お値段もサイズも手ごろなJK読書の味方、文庫本! 最近発売された文庫から、おすすめ作品をまとめて紹介するね。今月はどストレートなものから、変わり種まで、鼻の奥がつーんとするような青春小説が豊作! ほかにもクセになりそうな「毒」や「恐怖」を漂わせた気になる作品も。
「毒」を感じながら漂う心地よさが

独特なワールドにぐいぐい引っ張りこまれる短編集。リストカットを繰り返す女性、事故で手を失った男性、サメを飼い始めたキャバ嬢などちょっぴりクセ強めな主人公たちが登場。7つのストーリーそれぞれに感じられる「毒」が魅力的で、読みながらニヤッとしてしまいます。
『自由なサメと人間たちの夢』渡辺優 ¥580/集英社
かわいくてほんのり怖い不思議な世界

2016年に芥川賞候補にもなった作品。「のりたま」と名前をつけたあひるを飼うことになった主人公の家。あひる目当てに子どもたちが集まってきてたけど、あひるが入院するとぱったり子どもたちは来なくなって……。退院して戻ってきたあひるはなんだか前と様子がちがう? タイトルのかわいさとは裏腹に謎の不気味さが。結末の先をあれこれ想像したくなる小説。
『あひる』今村夏子 ¥520/KADOKAWA
青春の「それな!」がつまってる

10代のこじらせ系&病み系な気持ちも、部活で頑張るまっすぐな気持ちも、読んでると「それな!」ってなるのが武田さんの小説。『君と漕ぐ』はタイトルにあるようにカヌー部が舞台。親の離婚で転校してきた舞奈は地元の川でカヌーに乗ってた美少女・恵梨香を誘って高校のカヌー部に入ることに。カヌーなんて経験したことがなくても、ペアを組む競技をやってるコは共感ポイントがあるはず。
『君と漕ぐ ながとろ高校カヌー部』武田綾乃 ¥590/新潮社
祝☆芥川賞受賞作家さんのデビュー作

ボクシング小説『1R1分34秒』で1月に芥川賞を受賞したばかりの作家さん。そのデビュー作であるボクシング小説がこちら。ボクサーになりたいけどなれない主人公・秋吉には夫と子どもがいる彼女が。友達のハルオと余命の短いハルオの彼女・とう子のお見舞いに行くけど。そして秋吉は、ひとつの季節の間に大切な人を3人失うことに……。コラボ企画として、尾崎世界観さんとの対談も収録。
『青が破れる』町屋良平 ¥680/河出書房新社
構成/古川はる香