平成最後のクリスマスも終わり、いよいよ平成最後の年末。いろいろと「平成」がまとめられてる流れにのって、本の世界でも「平成」をふりかえってみたい! 今回は、新人作家さんにとってあこがれの文学賞・芥川賞で話題になった「2作品同時受賞」をピックアップ!

【平成15年下半期】19歳&20歳のフレッシュな2人がW受賞

平成15年の下半期に芥川賞を受賞したのは綿矢りささんの『蹴りたい背中』と金原ひとみさん『蛇にピアス』。当時綿矢さんは19歳11カ月、金原さんは20歳5カ月で、歴代最年少受賞記録のトップ2が2人に塗り替えられちゃった!(今も記録は変わらず)今は2人ともママになり、新たな作品を書き続けているよ。2人の作品を発売順に読んでいくと、20代から30代の女性の人生が激動ぶりを疑似体験できそう!
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クラスにうまくなじめない、陸上部のハツこと初実。ある日、自分と同じようにクラスから浮いている男子・にな川がモデルのオリチャンのファンだと知って、距離が縮まっていくけど……。男女2人が近づいたからって、すぐにラブに展開するわけじゃない。高校生のフクザツな気持ちに共感!
『蹴りたい背中』綿矢りさ ¥380/河出書房新社
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舌の先を蛇みたいに2つに割る「スプリット・タン」の彼氏・アマと一緒に住んでる19歳のルイ。顔中にピアスとして、体にタトゥーも入れてるアマを見てるうちに、自分も身体改造に興味を持ち、タトゥーを彫るシバさんと接近することに。知らなかった世界をのぞき見する感覚でドキドキ!!
『蛇にピアス』金原ひとみ ¥400/集英社

【平成27年上半期】キャラ立ちしすぎな2人の受賞にみんなが注目!

平成27年上半期、芥川賞を受賞したのはお笑い芸人・ピースとしても活躍してる又吉直樹さん。本好き芸人としても知られる又吉さんの受賞にみんながびっくり!! もうひとりの受賞者は高校生で作家デビューした羽田圭介さん。又吉さんに注目が集まりすぎて、自分から「”(又吉さん)じゃない方”です」って言っちゃったり、おもしろ発言が話題になりました。そんな2人の受賞作はコチラ。
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花火大会で出会った先輩芸人・神谷に弟子入りしたいとお願いした売れない芸人・徳永。お笑いの天才的才能を持ちながら、人間味あふれる神谷にぐんぐんひかれていく徳永。芸人でもある又吉さんにしか描けない! テレビで見るだけじゃ絶対にわからない深い世界にふれられるよ。芥川賞受賞前から爆売れしたこの作品。芥川賞受賞作品として歴代1位の売り上げを記録したんだって。
『火花』又吉直樹 ¥580/文藝春秋
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「死にたか」と口にするようになった87歳のおじいちゃんとその孫である健斗。介護の仕事をする幼なじみに相談して、介護をしすぎることで楽に死なせてあげることを考えるように。だんだん弱っていくおじいちゃんに対して、将来の夢も見えなかった健斗は介護を通じて心境が変化していくことに。日本のあちこちで問題になってる「介護」をテーマにした家族小説。
『スクラップ・アンド・ビルド』羽田圭介 ¥550/文藝春秋
構成/古川はる香