性と体の不一致を表す「LGBT」。当てはまる人は13人にひとりといわれている時代。正しい知識を身につけておくことが大切だよ。中学でゲイを自覚したというぺえさんが、学生時代の経験や、カミングアウトについて語ってくれたよ。

初彼との交際でゲイであることを自覚

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まず私は男性として生きているので、カテゴリーとしてはゲイにはまりますね。ファッションは好きな服を着ているだけで女装をしている意識はないし、女性になりたいと思ったことはないの。でも恋愛のときだけ、女性として男性に恋をしている感じかな。私が自分の性をハッキリと自覚したのは、中2のとき。小さい頃から『きかんしゃトーマス』よりも『おジャ魔女どれみ』を好んだり、中性的ではあったんだけど、どこか"認めたくない"という気持ちがあったんだと思う。でも中学ですごく仲良くなった男友達から、ある日突然告白されたの。過去に女性と付き合っていたときに手をつないだりすることに違和感を感じていたんだけど、試しに彼と付き合ってみたら、しっくりきたんだよね。その経験が、ああ自分は男性が好きなんだなあ、と素直に受け入れるようになったキッカケかな。 そんなこんなで、突然ゲイとしての生活がスタート。彼がとても素直に生きるタイプの人で、学校でも私たちの関係をオープンにしていたのね。もちろん最初は、なかなか認めてもらえなかったよ。彼はバスケ部のエースでモテモテだったから、"なんで男のあんたなんかと!"っていうやっかみを受けることもあったし。それでも交際が続くにつれて、徐々にみんなあきらめたんだと思う(笑)。公認のゲイカップルとして、5年間も付き合っていたんだ。

カミングアウトして素直な気持ちで話せるようになった!

 オープンな交際=カミングアウト、という形になった私だけど、当時心が解放されたような感覚になったのを覚えてる。とにかく一番うれしかったことは、友達と素直に会話が楽しめるようになったこと。隠していたときは、女性を恋愛対象だと装って恋バナしていたりしたから、どこかツラかったんだよね。その反面いやだったことは、特に同性から、とても気をつかわれるようになったこと。部活で遠征に行ったときとか、それまでは全員で大浴場に入っていたのに、“先に入る?”と言われたり。私はまったくに気にしてなかったからこそ、孤独や寂しさ、申し訳なさを感じてしまったのよね。それでもやっぱりカミングアウトしてよかった!と思えたのは、「心が男でも女でも、慎平(本名)が好きだよ」と言ってくれた親友たちの存在だった。  そんな私だけど、両親だけには伝える勇気が出なかったんだよね。嫌われるという心配ではなく、孫の顔を見せられないという申し訳なさが大きかったかな。結局、自分から両親には言えないまま、テレビの企画でカミングアウトすることに。ロケで実家に行ったときに初めて、私について話し合う家族会議をしていたことを知ったの! まあ小さい町だし、私に彼氏がいたことも、気づいていたんだろうね。両親と姉&兄が「大丈夫なのか」と話してたらしいんだけど、そんな不安を私には微塵も見せなかった。口出しせず、見守っていてくれたことがわかって、本当にありがたいなと心から感謝したし、報われたな。

カミングアウトだけが正しい選択じゃない

私自身はカミングアウトして本当によかったと思っているけど、みんながそうするべきだとも思わないの。私はまわりの環境に恵まれていたけれど、それでも、失った友人もたくさんいたからね。それから知っておいてほしいのは、カミングアウトされる側にもダメージがあるってこと。表面上は気にしていないように装ってくれても、多少なりとも気はつかっているから。そういうリスクや変化をちゃんと理解して受け入れる準備ができたときこそが、いいタイミングだと思う。私は大学卒業後に東京に来て、世界がガラッと変わった。いろんな人がいて、それぞれが受け入れられる環境があるんだ!って気付けたし、自信を持つことができた。人って年や経験を重ねれば重ねるほど、いろんなことを受け入れられるように成長していくんだよね。だから社会に出て自立してからカミングアウトするというのもひとつの選択肢。正しい答えはないけれど、ひとつだけ断言できるのは“何事も型にハマる必要はなし!”ということ。自分に正直に、幸せをつかんでほしいな。
Profile&Information ●'92年4月22日生まれ、山形県出身。W♥Cのカリスマショップ店員&タレントとしてひっぱりだこ。『#ジューダイ』(NHK Eテレ・毎週木曜夜19:25〜)にレギュラー出演中。
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イラスト/藤井昌子 構成/中西彩乃(Seventeen3月号)