直木賞&本屋大賞W受賞で話題集中!「今、このヒトが読みたい!」【恩田陸さん】
ST編集部注目の作家さんをクローズアップ‼ 最新作や過去の名作を紹介するよ。今回読みたい作家さんは恩田陸さん。ピアノコンクールを舞台にした作品『蜜蜂と遠雷』が、今年に入って「直木賞」と「本屋大賞」をW受賞して話題に! ST世代を主人公にした作品をたくさん書いている恩田さんのオススメ作品はこちら♪
ピアノコンクールをめぐる天才たちの物語!
3年に一度開催される「芳ヶ江国際ピアノコンクール」。このピアノコンクールでの、優勝をかけたピアニストたちの戦いを描いた物語だよ。お父さんの仕事の関係で全国各地を移動しながら生活してて、家にピアノがない(!)16歳の風間塵(ジン)。天才少女としてCDデビューしたけど、母親が亡くなってからピアノが弾けなくなってしまった20歳の栄伝亜夜。優勝候補と噂される音楽の名門校の優等生・マサル・C・レヴィ=アナトール、19歳。そして楽器店に勤めていて妻や子どももいる28歳の高島明石。この4人を中心に、出場者や審査員などコンクールをめぐる人たちの想いが。結果が気になって、ページをめくる手が止まらない!!
『蜜蜂と遠雷』恩田陸 ¥1800/幻冬舎
学校のみんなと過ごす特別な夜に…
なんと恩田さん、『蜜蜂と遠雷』の前にも「本屋大賞」を受賞したことがあるの。それが『夜のピクニック』って作品。主人公の貴子が通う高校には、全校生徒がひと晩かけて80kmを歩きとおす「歩行祭」という伝統行事が。高3の「歩行祭」、みんなが高校3年間の思い出や卒業後の進路について話しながら歩いている中、貴子はある誓いを胸に秘めていて……。2006年には実写映画化もされた人気作品。
『夜のピクニック』恩田陸 ¥710/新潮社
まさに「ドミノ倒し」みたいなコメディ!
1億円の契約書を待っているオフィス。オーディション中に下剤を飲まされてしまった子役。待ち合わせ場所に行きつけない老人……。真夏の東京駅を舞台に、27人と1匹の登場人物の物語がつながっていって、ドミノ倒しみたいにスピーディに進んでいくドタバタコメディ。勢いと読んだ後の爽快感は最高!
『ドミノ』恩田陸 ¥560/KADOKAWA
怖くて美しい「幽霊屋敷物語」
恩田さんの作品は、青春ストーリーだけじゃなく、ミステリーやホラーも。この作品はズバリ「幽霊屋敷物語」!! アップルパイが焼けるキッチンで殺しあった姉妹。壁に埋められた死体と思われる何か……。小さい丘の上に建つ幽霊屋敷で起こるゾクゾクするような出来事。怖いんだけど、どこか凜とした美しさが!
『私の家では何も起こらない』恩田陸 ¥560/KADOKAWA
日常感もあるファンタジーシリーズ
なんとSFやファンタジーまで書いちゃう恩田さん。『常野物語(とこのものがたり)』は恩田さんのファンタジー代表作で、『光の帝国』がシリーズ第一作。普通の人が持っていない不思議な能力を持ちながら、ごく普通に生活している常野一族の人たちが出てくる短編集。その能力は、たくさんの本をそのまま暗記できる「しまう」能力、未来を「見る」能力などなど……。読んでるうちに、自分のまわりにも常野一族がいるんじゃ⁉みたいな気持ちに。
『光の帝国 常野物語』恩田陸 ¥495/集英社
構成/古川はる香