卒業記念!ラストインタビュー【久保史緒里STを卒業します⑦】
春号でSTを卒業するくぼし。STモデルとしての6年7か月を振り返って、今思うこと。卒業に対する気持ちをたっぷり語ってくれたよ。
ドキドキしながらも背すじが伸びたはじまりの日
卒業ページの撮影を終えてもまだ実感がわかない。だって初撮影のときのスタジオの光景や自分の気持ち、全部を鮮明に思い出せるのに。初撮影の日、編集長から“ST㋲の心得”という紙をもらったんだ。歴代の先輩も受け継いできた秘伝の書のようなもの。6年7か月前、あの紙を手にしたときの私は緊張しながらも”本当にST㋲になるんだ”って背すじを伸ばしてた。でも、STでの撮影を最初から楽しめていたかと聞かれたら……全然そうではなかった。いちばんの感情は”申し訳なさ”だったと思う。乃木坂46に加入して1年も経ってなくておしゃれにくわしいわけでもない私が、ST読者のみんなに向けて何も発信できないのにここにいることがすごく申し訳なかった。
……実はこの気持ち、私は3〜4年近く持っていたんだ。それはST㋲としてに限らず乃木坂46の活動面でも同じ。私は自信のない期間が本当に長かった。でも不思議なものでSTの撮影現場には少しずつなじめて落ち着ける時間も増えていってたの。そう感じるようになれたのは、同じ宮城出身の卒㋲(佐々木)莉佳子のおかげ。莉佳子は最初からグイグイきてくれて。コミュニケーション上手で、ST㋲やスタッフさんにめっちゃかわいがられていたんだよね。現場での明るい交流の場に莉佳子が私を連れ出してくれた。
アイドルとは違ってモデルならではの大変さも最初は多かった。特にカメラの前でのポージングや表情のつくり方はアイドルのときとはまったく違って。STで”自分のかわいさやきれいさ”とは別にヘアメイクや服を見せることの大切さを徹底的に教えてもらえた。それとモデルとしての壁はもうひとつ、体型管理という壁も大きかった。私には思うように体型を保てなかった期間があって。その時期は”今日の衣装は脚や腕が出るかな”とか気にしてばかり。今ならそんなにまわりと比べなくていいのに……と思うけど、あのころの私はどうしたって割り切れなかったんだよね。
ST夏の学園祭での出会いが私をここに引き止めた
悪循環が続いた結果、2018年に私は乃木坂46も含め休業期間に入ることに。ただその期間中にSTの夏の学園祭に参加することになって。そのときに楽屋で私に話しかけてくれたのが永野芽郁さんだった。芽郁さんは私が休養に入っていたことはまだ知らなかったみたいなんだけど、当時の私がほっとけなかったらしく声をかけてくださったの。それから連絡をこまめにくれてごはんにも連れていってくれて。いろんな話を聞いてくれて、芽郁さんには本当にたくさん支えられました。あのとき芽郁さんがいなかったら、私はやめていたかもしれないほど。いまだに芽郁さんとのご縁も続いていること、この出会いに感謝しかないです。モデル業をやっていたからこそ大変なことも正直あったけれど、ST㋲でいたからこそ救われたことが私にはありすぎます。
私が申し訳なさをぬぐえはじめたのは2020〜2021年ぐらいのころかな。コロナ禍で撮影がままならないなかでもSTを楽しみに待ってくれている人がいるから”何かしなきゃ”と思うように。提出する私服コーデを1体増やしたり些細なことだったけど、気持ちにも変化が起きた。そしてちょうどこのころ、連続ドラマに初主演したり、初めて単独で舞台に出演したり、モデル以外の活動も広がりはじめて。これが私にとってかなり大きな出来事だった。私が憧れていたST㋲の先輩がたはST以外にもたくさんの場所で大活躍されていて。その姿に少しだけ近づけたなと思えたタイミングで、STの撮影でも大きなファッション企画に呼んでもらえるようになったり、スタッフさんとも積極的にコミュニケーションをとれるようになって、楽しい気持ちが増えていったんだ。気づいたらいい意味でまったく緊張はなくなってたな(笑)。今日もさみしい気持ちはあれど、ずーっと楽しかったし!
私を見つけてくれたみんなのことが本当に大切
STでいろんな経験をしたなかで私がST㋲として得られたことは表現の幅。例えばシックな服を着ているからといって、シックな表情をしなくたっていいし、ファッションもメイクもポージングも全部自由。正解はひとつじゃないことを、STで学べた。そして何よりもうれしいのは「STで久保ちゃんを見て乃木坂46を好きになりました」と言ってもらえたこと。ここ数年そう言っていただくことが多くて。くすぶっていた期間が長かったST㋲としての私を見つけてくれたコたちのこと、本当に大事にしたい。
ST㋲としてやりたかったことはいろいろできたけど、同世代のコや後輩㋲のみんなとのことを思うと……うぅ、撮影したかった企画がありすぎる! 秋田汐梨ちゃん&加藤栞ちゃんとの”しおりトリオ”での撮影、同郷の佐藤不二子ちゃんと宮城姉妹企画もやりたかったし。私は姉㋲らしいことは何もできなかったからこそ、楽しくお話しできる時間もあったらなと思う。ひとつだけ、ここで後輩㋲のみんなに伝えるとしたら……”みんな最高にかわいいよ♡”ってこと! 私、みんなのことチェックしてたんだよ。そのうえでST㋲はみんな本当にかわいいなって思う。だからどうかどうか人と比べたりせずに、自分だけの道を歩んでいってほしいなと思います。本当にみんな、いるだけでかわいいんだから。
いろんなことがあったST㋲としての6年7か月は、まるで航海をしていたような気持ち。すごく悩んで大荒れだった時期もあるけど、今、私の目の前には真っ青な空と美しい海が広がってる。それは支えてくれた読者のみなさま、ST㋲、スタッフさんのおかげです。今はひとつの目的地にたどり着けた気分なので、落ち着いたらまた新たな航海に出たい。かけがえのない6年7か月でした!
STモデルとしての6年7か月。くぼしらしい言葉でたくさん語ってくれてありがとう!