家族の数だけ物語がある!【「家族」をのぞく小説】
みんなにとって「家族」って何? 自分の家族のこと、どう思ってる? 家族って「こういうもの」ってひとことでは言えないくらいパターンがいっぱいあるよね。「うちの家族ってヘンかも?」と思ったときに読んでほしい「家族」が出てくる小説です。
人と人とのつながりがムネアツな短編集
以前はバンド・チャットモンチーのドラマー、作詞家だった高橋久美子さんの初の短編集。ひとつひとつの物語が、まるで友達や家族の話を聞いてるような、身近な存在に思えてきちゃう。年齢も職業もバラバラだけど、登場人物たちがどこかでつながりがあるしかけにもキュン。こんなふうにうちらもいろんな人とつながってるって考えると、家族のことも、街ですれちがっただけの人も愛おしく思えてきそう!
『ぐるり』高橋久美子 ¥1540/筑摩書房
なんでもない毎日をみんな一生懸命生きてる!
高校生の怜が住むのは海と山に囲まれた温泉街。昔は団体客でにぎわってたけど、今はさびれた雰囲気に……。同じ高校の友達とバカ話しながら過ごすフツーの毎日は、自分の日常とリンクするものが。けど、怜には「家が2つある」ってゆー複雑な家庭の事情が!? 笑いながら楽しく読めるストーリーの裏にある、主人公たちの一生懸命さ、悩みに共感!!
『エレジーは流れない』三浦しをん ¥1650/双葉社
すべてを打ち明けるのが「愛」ってことなの?
実家である下宿『すみれ荘』の管理人をしている一悟。それぞれ個室はあるけど、居間兼食堂があって、入居者の食事は一悟が用意。シェアハウスよりも、もっと関係が近い「家族」みたいな感じ。そこに新しく入居してきたのは、小説家の芥。芥は正体を隠してるけど、どうやら一悟の生き別れの弟みたいで……? 芥と過ごすうちに、一悟はまわりの人たちの知らなかった一面を見ることに。
『すみれ荘ファミリア』凪良ゆう ¥847/講談社
構成/古川はる香