ある時はウブな中学生、またある時は既婚のNo.1ホスト、そして困窮する武家の三男だったりと、テレビや映画で幅広い役を演じている板垣李光人さん。現在公開中の映画『ペリリュー ー 楽園のゲルニカ ー 』では、激戦地で戦う兵士の声をつとめているよ。
作品の舞台は太平洋戦争末期のパラオのペリリュー島。1万人の兵士の中で、最後まで生き残ったのはわずか34人だった!という史実に基づく過酷な戦いを三頭身の愛らしいキャラクターで描いた作品。そのギャップで、なぜか戦争の狂気がよりリアルに伝わってくる!
過酷な戦闘が行われたその地を知るために、実際にペリリュー島を訪れたという李光人さん! 何を見て、何を感じたかというお話に、戦後は“もう80年”ではなく、“まだ80年”でしかないと感じさせられたよ。



※原作は、第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞した同名作品。戦争マンガの新たなる金字塔と呼ばれた作品が満を持して劇場アニメーションとして映画化!

可愛らしいタッチで描かれる、凄惨な現実や戦争の残酷さ


板垣李光人 写真1

――オファーを受けた時や、原作を読んだ時の思いを聞かせてください


お話をいただいてから原作を読んだんですが、この可愛らしいタッチで描かれる、凄惨な現実や戦争の残酷さのギャップがとても印象的でした。絵柄がリアルな頭身ではないからこそ、想像の余地があるというか、そこが面白いと。
今年終戦80年ですが、我々の世代だと戦争は教科書の中や『はだしのゲン』といった、ある種、本の中のもの。僕の場合はこれまで戦争体験者の方にお話を聞く機会もなかったので、どこかフィクションのように捉えてしまう側面が強かったんです。
でもここ数年、世界で起こっている戦争の惨状が報道されることが多くなってきて、戦争をグッと身近に感じるようになってきました。そんな中で、戦争を体験したことのない世代の自分に何ができるだろうか、と考えていた時にこのお話をいただいたのですごくありがたかったですね。

映画「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」シーン写真1

©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」製作委員会 

――演じた“田丸均”という人物はどんな人ですか?



抽象的ですけど、“すごく綺麗にむけたゆでたまご”みたいな人。人肌に温かくて、柔らかさがある。田丸ってこの作品の主人公ではありますけど、部隊においては先陣を切って引っ張っていくような人間ではないんです。けれども、田丸がいるとどこかほっこりする、温かくなるようなそんなイメージで演じていました。



――登場人物の中で李光人さんが気になったキャラは?

やっぱり吉敷佳助(声:中村倫也)です。吉敷は本当にいい人だなと思います。普通に現代の実生活でもいろんなことで頼れそうだし、優しさも強さも持っている人です。

――田丸と吉敷は一緒に行動すること、会話することが多い間柄ですが、中村さんとはどんなお話をしましたか?



声を入れる時でご一緒したのは1日だけなんです。中村さんは豊富に声優の経験がおありで、声優としての芝居のやり方と、映像での芝居のやり方との両方を熟知されていて。僕は声優は『かがみの孤城』に続いて2回目でしたし、ブランクも2年以上空いていて。『かがみの孤城』の時も、声優の芝居の仕事がつかめたなという感覚がそこまでないままに終わってしまった感じだったんです。


アフレコは、全て出来上がった映像を見ながらやれるわけではないですし、当日はタイムと台本を見ながらセリフを言う感じなんです。でも普段は相手の芝居を見て聞いてセリフを発するので、仮でもいいから他の役の声も入ってる状態でアフレコをやらせてほしいと中村さんが言ってくださって。それはすごくありがたかったですね。実際に声が聞こえてきて反応する、ということができたので。



  • 映画「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」シーン写真2
  • 映画「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」シーン写真3

演じる前には実際にパラオのペリリュー島へ

板垣李光人 写真2
板垣李光人 写真3

――アフレコに入る前に、実際にペリリュー島に訪れたそうですね。それはやっぱり役作りのために?

そうですね。普段だったら、ロケーション、衣装があって、ヘアメイクをしていただいて、芝居をしますけど、アフレコブースの中でマイクとモニターに向かって芝居をするというのは、やはり慣れない環境で。
収録前には実際にペリリュー島に行ってきました。映画の中で田丸が母に宛てた手紙で、ここは楽園のような場所と書くのですが、空と海が青くて、緑がキレイで、本当に楽園みみたいな景色でした。でも、その景色の中を進んでいくと、実際にその兵士の方たちが隠れてた洞窟であったりとか、長い間潜伏していたという、子ども一人が通るのがやっとぐらいの狭さの穴があったり。洞窟の中にはその当時のガラスの瓶の破片とかがまだ残ってましたし、朽ちて錆びた状態の戦車がそのまま残ってました。
そういうものをまのあたりにし、島の気温、虫の声、風の音を自分で感じることで、補完される部分がありました。気持ち的にも一層思いが入る部分もあって、行ってよかったなと思います。



――完成した作品全体を見た時はどんな風に思われましたか?



この映画は田丸の視点に絞られて描かれているので、観る人も感情移入がしやすいなと、通して観てあらためて感じました。そして、背景の美術。本当に楽園のように美しいし、焼け野原は生々しく痛々しい。その背景とキャラクターや内容とのギャップのコントラストを、強くしすぎてないところがよかったなと。想像の余地を残しているけれども、わかりやすさもしっかりとある。いい塩梅で、観た人に伝わるんじゃないかなと思いました。


田丸が戦争を思い知らされる場面では、演じる自分にも衝撃が

映画「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」シーン写真4

©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」製作委員会 

――特に心に残る印象的なシーンは?



衝撃的なシーンは多々ありました。まずは冒頭のほうで仲間が命を落とすシーン。数分前まで話してた仲間の命がいとも簡単に失われ、田丸は戦争というものを思い知らされましたし、演じているこちら側にも衝撃的でした。そして、後半に吉敷と一緒に歩いていくところ。アフレコしている時も、完成したものを観ても、心に残るシーンでした。

――今年も数々の映画やドラマでご活躍されましたが、俳優のお仕事で一番やりがいを感じるのはどんな時ですか?



辛いシーンとか苦しいシーンをやってる時こそやりがいを感じますね。自分が普段蓄えている電力を一気にバーって出す時というのは、ある種の爽快感があります。まぁ疲れますけど(笑)。演じるということをすごく感じられるので、楽しいなと思います。

例えば、簡単に言うと、人が死にました、慟哭しました。そんなことがあっても、実際には死んでもないし、相手は会って1ヶ月ぐらいの方。そこに対して、役と自分とを融合させて芝居をするという感覚は、多分世間一般からしたらすごく不思議なことだと思います。でも、それが面白いなと思うんですよね。演じて、ふと我にかえって、撮影が終わって、完成したものを観て。それが演じることの楽しさというか、そこに面白さを感じます。

気軽な気持ちで観ていただけたら!


板垣李光人 写真4

――最後にST読者にメッセージを



僕も戦争を教科書や映画の中のものという捉え方をしていました。だからこそ、今回この作品に出会って、ペリリュー島や戦争のことをより知ることができました。この映画を観て、そこから何か考えたり学ぼうとするかどうかは、観てくださった方々に委ねたいです。でも、その入口の一つとして、知るきっかけになったらいいなと思います。

僕がこの作品に関わることで知ったように、今度は僕がこの作品を届けることで、観て知っていただける。そして、さらに知ってくれる人がたくさん生まれていく。そういう繋がりができていったらいいなと思います。ぜひ肩の力をぬいて観ていただけたらうれしいです!



生き残る、二人の約束。史実に基づく戦火の友情物語


映画「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」シーン写真5

©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」製作委員会 

  • 映画「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」シーン写真6
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映画『ペリリュー ー 楽園のゲルニカ ー』
12月5日(金)より全国公開中!

映画「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」ポスター

©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー ー 楽園のゲルニカー 」製作委員会 

STORY

南国の美しい楽園、パラオのペリリュー島で戦う21歳の兵士、田丸。漫画化志望の才能を買われ、亡くなった仲間の最期の勇姿を遺族に向けて書き記す「功績係」に任命された。

4万人もの米軍が襲いかかる中、持久戦による時間稼ぎを命じられた1万人の日本軍。戦いの中で楽園は狂気の戦場と化していく。

そんな中、田丸の支えとなったのは同期ながら頼れる上等兵・吉敷だった。
二人は苦悩を分かちあいながら、特別な絆を育んでいく。

※ペリリュー島の戦いとは
太平洋戦争末期の昭和19年9月15日から約2ヶ月半もの間、パラオ・ペリリュー島で戦いが繰り広げられた。日本軍兵士1万人の中で生き残った兵士はわずか34人。米軍兵士も1600人以上が死亡されてとされている。
その犠牲の多さと過酷さに対して、ほとんど語られることなく「忘れられた戦い」となり、現在でも千を超える日本兵の遺骨が収容されずに島に眠っている。

配給:東映
声優:板垣李光人/中村倫也  天野宏郷 藤井雄太 茂木たかまさ 三上瑛士
主題歌:「奇跡のようなこと」上白石萌音(UNIVERSAL MUSIC / Polydor Records)
原作:『ペリリュー ー 楽園のゲルニカ ー』武田一義/白泉社(ヤングアニマル)

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板垣李光人

2002年1月28日生まれ。2024年日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画『かがみの孤城』(2022年)で声優に初挑戦。今年は出演した映画『はたらく細胞』『ババンババンバンバンパイア』(プライムビデオにて独占配信中)、『ミーツ・ザ・ワールド』が公開。ドラマ『秘密~THE TOP SEARET~』(カンテレ・フジテレビ)、『しあわせな結婚』(テレビ朝日)、 連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK)と数々の話題作に出演! 2026年には主演映画『口に関するアンケート』が公開予定! 板垣さんが作・絵を手掛けた絵本『ボクのいろ』も好評販売中。

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撮影/高橋明宏 構成/鹿住恭子