
広瀬すずさん出演映画『宝島』が公開中! ST読者に向けて撮影裏話や作品への想いを語ってもらったよ〈戦後80年企画〉
伝説のST㋲・広瀬すずさんがSeventeenにカムバック! おひさしぶりのSTスタッフを見つけた瞬間、満面の笑みで「Seventeenだーーー!!」と駆け寄り、さっそく弾丸トークをスタート。まぶしいくらいキレイなのに、気さくで飾らない性格の変わらなさにスタッフ全員感動(涙)。そんなすずさんが出演する映画『宝島』は、戦後・アメリカ統治下の沖縄で起きた歴史的な事実をべースに描かれた物語。インタビューでは、作品とまっすぐに向き合って感じたことや『宝島』を通して届けたい想いを話してくれたよ。戦後80年というひとつの節目を迎えた今、この映画が読者のみんなにとって戦争について考えるきっかけになるはず。
沖縄の人が抱いた怒りや痛みを同じ人間として感じることができた

――映画『宝島』は、戦後のアメリカ統治下にあった沖縄を舞台に、故郷を奪われた少年少女たちが自らの手で未来を切り開こうとする物語。撮影をしながら、どんなことを感じた?
学校の授業で沖縄の歴史について学ぶ機会はもちろんあったけれど、今回『宝島』で演じた役を通して、当時の沖縄の人たちが抱いていた怒りや痛みを同じ人間として感じることができたんです。戦後80年というタイミングで映画をきっかけにそういった感情を体感できて、本当によかったなと思いました。

©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会
――すずさんが演じたヤマコは、オン(永山瑛太)の恋人で、グスク(妻夫木聡)とレイ(窪田正孝)の幼なじみ。大友(啓史)監督から「太陽のような存在でいてほしい」と言われたヤマコのキャラクターは、どのように作っていった?
クランクイン前は、妻夫木さんがどんなふうにグスクを演じられるのかや、恋人のオンちゃんがいなくなる悲痛さを想像することが難しかったので、不安な気持ちを抱えたまま沖縄での撮影に向かったんです。

私のクランクインはヤマコの家で親しい人たちが集まってみんなでカチャーシーという踊りを踊るシーンだったんですけど、そこで沖縄ならではのカルチャーや人の温かさをすごく感じられて。「うちなんちゅ(沖縄生まれの人)ってこういう感じなんだな」って思えた、そんな説得力のある環境に身を置くうちに、ヤマコとしての実感が湧いてきました。

――ヤマコは感情を爆発させるシーンが多かったけど、演じる上で大変だったことは?
一生分泣いたんじゃないかと思うくらい泣くシーンが多くて(笑)。しかも、ただ悲しいだけじゃなく、時間の経過とともにヤマコが本気で英雄になろうとしている強さも見せたかったので、「表現の引き出しが足りない……!」と思いながらも必死に演じていました。

©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会
――撮影を振り返って印象に残っているシーンは?
ヤマコが教師として働く小学校に戦闘機が墜落するシーンは、実際に戦闘機が落ちた穴を校庭に掘っているんです。その景色を目の当たりにしただけで、一気に心が痛くなりましたね。その時ヤマコは生徒を抱きかかえていたんですけど、子どもって素直だから、私が「体の力を抜いていいよ」って言った瞬間に脱力してめっちゃ重い、みたいな。でも、人ってこんなに重いんだなっていうことも含めて全部情報として自分の中に入ってきて、あのシーンはいろいろなものがより現実味を帯びて感じられたなと思います。

――撮影で沖縄に滞在していた期間を振り返って、楽しかったできごとは?
オフの時間の頭の中のほとんどを占めていたのは、ごはんのこと。「今日はどこのソーメンチャンプルを食べようか?」っていう話をして、いろんな人からおすすめされたごはん屋さんに行っていました。結局、「どのお店もおいしいね」っていう結論に落ち着いたんですけど(笑)。撮影がなかった日はB.LEAGUEの琉球ゴールデンキングスの試合を見に行ったり、沖縄に住んでいらっしゃる尾野真千子さんのおうちに遊びに行ったりと大満喫させていただいて、沖縄がますます大好きになりました!
戦後の沖縄で起きたできごとを自分ごとのように感じてもらえたら

――6月には那覇市の中学校を訪問して、現地の中学生たちと沖縄の戦後史について意見交換。そのなかで感じたことは?
『宝島』への出演が決まった時、もし私が沖縄で生まれ育っていたら、戦後の沖縄で起きたできごとについてもっと深く知っていたのかもしれないと勝手に思っていたんです。でも、中学生のみなさんとお話してみて、自分と感覚が近い方たちがいたことに驚いたし、同時に納得する部分もありました。大好きな沖縄の街にどんなことがあったのか、時間が経過して知る機会が減っていたり、痛みを知ってまで向き合うのが苦しいという気持ちもあって当然だよなって。だからこそ、『宝島』をどんなふうに見てもらえるのか、特に戦後の沖縄を見てきた世代の方たちにとっては答え合わせになるのかならないのか、不安だったんです。けれど、先行上映では登場人物の生き様を通して彼らの感情を受け取ってもらえて、届くものは届くんだって強く感じることができました。
ST読者にメッセージをもらったよ!

『宝島』は、実際に戦後の沖縄で起きたできごとをきっと自分ごとのように感じてもらえる作品。読者のみなさんがいつか大人になった時、歴史を受け継いでいく要素のひとつとして、映画の1シーンでもいいから、この『宝島』があったらいいなと思います。
映画『宝島』9月19日(金)より全国公開!

©真藤順丈/講談社 ©2025「宝島」製作委員会
沖縄がアメリカだった1952年。でっかい戦果を上げることを夢見るグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)、そして彼らのリーダーであり英雄的存在のオン(永山瑛太)は、米軍から物資を奪って住民に分け与える“戦果アギヤー”と呼ばれていた。ところが、ある日オンは突然消息を絶ってしまう。残された幼なじみの3人は、刑事、教師、ヤクザとなり、それぞれの道を歩みながらオンを探しつづけていた。しかし、アメリカに支配され、本土からも見捨てられ、ある事件をきっかけにやり場のない怒りが爆発する。やがて、オンを追って米軍も動き出し……。
配給: 東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
ひろせ・すず●1998年6月19日生まれ、静岡県出身。2012年にSeventeen専属モデルとして芸能界デビュー。俳優としても活躍の場を広げ、最近の出演作にドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』、『阿修羅のごとく』、映画『ゆきてかへらぬ』、『片思い世界』など話題作が多数。映画『遠い山なみの光』が公開中。映画『汝、星のごとく』が2026年公開。
撮影/千葉タイチ 構成/吉川由希子